辿りついた。そこはTEDxKyotoだった。vol.3
これはわたしがTEDxKyotoスピーカーコーチに至った個人的なストーリだ。
大切なものを全て失い、人生の実験生活をはじめる中、TEDを知り、パブリックビューイングを体験し、そこから数か月経った夏の日からつづきのストーリーははじまる。(vol.1 &vol.2)
偶然の再会
2012年夏、東京大学。わたしはファシリテーターとして教室に立っていた。学際情報学府 学習環境デザイン研究者の元、大学生の創造性開発をおこなう実践研究のお手伝いをさせてい頂いていたのだ。ありがたいことに夢の仕事を一つ叶えることができた頃だ。
ワークショップ実施中、福武ホール教室の透明な壁の向こうから見覚えのある顔がちらりとのぞいた。なんと、TEDxTokyoパブリックビューイング受付で快くiPhoneを充電してくれたあののりさんではないか!偶然の再会だった。
TEDxKyoto2012への招待
「ゆかりさん、TEDxKyotoが9月にあります。良かったら参加されませんか?数ある中でも京都は特にいい。僕のおすすめです。」わたしは喜んで招待して頂くことにした。心がワクワクするパスポートを手にした気がした。蝉の鳴く声と、青い空が広がる爽やかな夏の一日だった。
放心状態を誘った、Kyotoクオリティ
2012年9月16日。TEDxKyoto。わたしは放心状態になった。
繰り広げられるトークに涙が止まらない現象が再びわたしに起こる。小説家の平野啓一郎さん、狩猟家の千松信也さん、考古学者の河江肖剰さん、数学者の森田真生さん・・・。平野啓一郎さん以外の方をわたしはこのTEDxKyotoではじめて知った。じぶんの知らないところで独自の独立した世界観を持つエネルギー溢れる人々がこの世の中にこんなにもいるのか・・・!!そのことに心底驚かされた。
トーク以外にもパフォーマンスあり、体を動かし参加者同志と繋がるヨガあり、知的興奮とエモーショナルな感動とリフレッシュが心地よく編み上げられている構成バランスに唸った。また、トークセッションの合間にあるブレイクタイムは一流ホテル並みのおもてなし、突如現れるモダンなお茶室、そこが一つの現代美術館のように会場全体が立体的にデザインされ五感が猛烈に刺激された。京都らしいしつらえ、そしてアクティヴィティ。京都の持つ古い伝統とモダンの融合。
わたしの体に、濃厚なエネルギーが圧縮ダウンロードされ、イベントが進むにつれ、全身へリリースされ新しいじぶんへと自動バージョンアップされていくような不思議な感覚を覚えた。
ああ、これがまさにTEDなんだ! Technology, Entertainment, Design!
驚愕。これがボランティア?!
そして、最も驚いたこと。それは、TEDxKyotoに関わるスタッフがすべてボランティアにより成り立っているということ。この事実をこの日の最後にわたしは知る。
信じられない・・・
一体どうなっているんだ!
これまで過去触れてきたどんなイベントやライブや勉強会よりもすばらしかった。知的好奇心が刺激され、すべてが美しく洗練され、と同時に人のぬくもりを至るところに感じた。
これほどまでに価値のある世界があるのだろうか?
わたしは、この世界を創り上げてくれたステージの上に立つボランティアの方々にただただ感謝と感動で拍手を止めることができなかった。そして、のりさんの「おすすめです」の一言を噛みしめながら、心地よい夜風に鼻歌まじりでわたしは帰路についた。
今回はここまで。ここまで読んでくださってありがとう。この先、まさかじぶんがこの世界の中へ融合していくとは、この時、全く想像だにしていなかった。恐らく次のストーリーがスピーカーコーチへ至る最終章となるだろう。 あともう少しお付き合い頂けるとうれしい。