辿りついた。そこはTEDxKyotoだった。vol.4

よねざわゆかり
TEDx Experience [日本語版]
5 min readSep 9, 2015

これはわたしがTEDxKyotoスピーカーコーチに至った個人的なストーリー最終章だ。(前回の話vol.1vol.2

人生の大切なものを全て失う中、偶然の出逢いが重なり、TEDを全く知らなかったわたしの生活にTEDxの世界が流れ込んできた。参加者として訪れたTEDxKyoto2012の大興奮から、時は巡る。舞台は2013年大阪からはじまる。

東京から関西へ

「365日人生の余白をじぶんへプレゼントする実験生活」の幕を閉じ、2013年春わたしは関西に生活を移していた。イノベーションを目的とした大阪の新施設でコミュニケーション専門職として、怒涛の毎日を送ることになっていた。すっかり、わたしの頭からTEDxのことは、消えていた。

・・・しかし、出逢いはいつも突然起きるのだ。
再びわたしの前に、運命の扉が準備されることになる。

いちさんとの出逢い

2013年7月30日。たっぷりのあご髭を蓄え、どこか異国と異次元(?)を彷彿させる金谷一朗先生、通称いちさんに声をかけられた。ナンパ?いや違う。

Image courtesy of TEDxKyoto

いちさんは、わたしが勤めていたサロンの会員さんで当時TEDxKyotoプロデューサーだった。わたしの中心業務は会員さんのお話を聴くことだったので、何度か会話させて頂いていたが、その日は少し様子が違った。

「TEDxKyotoのコーチをしてくれませんか?」

わたしはこの一言を、一瞬、聞き間違えたのかと思った。

それは、瞬く間に

前回を読んでくださった方はおわかりかと思うが、2012年あまりのクオリティの高さに驚かされたTEDxKyoto。そのスピーカーコーチをわたしが?ちょっと信じられなかった。

しかし、これが千載一遇の機会であることには違いない。
とまどいながら、

「・・・は、はい。わかりました。
あの・・・、わたしがこれまで何をしてきたかご存知なんですか?」

と言う声を、聞いてない様子でカタカタカタ・・・とものすごい勢いでキーボードを叩きだした。そして例の写真を見つけだし、TEDxKyotoの創設者Jayさんにメールしているようだった。

ものの数分後、「ゆかりさん、メンバーからOKがでました。コーチお願いします!」と言われ、わたしはTEDxKyotoのスピーカーコーチをすることが決まった。瞬く間である。いちさんのただならぬスピードにあっけにとられていたが、とても光栄に思った。まさかあの写真が1年後、わたしの運命に力を与えてくれるとは・・・。

驚愕再び。泳ぐしかない!

さて、引き受けたものの、実際コーチは何をするのか?何をどうやって進めていくのか?具体的に何もわかっていなかった。わたしはいちさんに尋ねた。

「スピーカーコーチのガイドライン的なものはあるんですか?」(もちろんあるよね、あのクオリティだもの)

にこっと白い歯を見せながら

「はっはは~!それがないんですよ~。」 (2013年当時。現在は存在する。)
「・・・・・・(絶句)」

あの感動のトークづくりにマニュアルがない?!
まさか・・・!!

わたしは再び、よくわからない海に放り投げられた。伝えられことは二つ。「ステージ本番の日」と「担当スピーカー」だけだった。もう泳ぐしかない!

そして、わたしはじぶんの人生経験と大事にしてきた価値観と勘を頼りにコーチングに挑むことになる。スピーカーの方と共に走り抜けた二か月間は、結果、生きている実感をわたしに与えてくれた。(そのコーチ内容についてはMediumJapanさんにも取り上げて頂いたこちらの記事に集結されている。)

本当のおはなしです

これがわたしがスピーカーコーチに至った道筋だ。
この活動は、わたしに「本当のいのち」を吹き込んでくれた。

わたしを見つけ、 全託してくれたいちさんには感謝以上の言葉が浮かばない。相当な賭けだったと思う。一度その秘訣を聞いてみたいものだ。

プロデューサーとは、
ラテン語
prodūcere (“連れ出す、引き出す”)pro (“前方に”) + dūcere (“導く”)人。

だそうだ。本物の教育者とはプロデューサーではないかとここ数年感じている。人が持つポテンシャルに気づき、ステージにあがる機会を与え、実践の中から個人の成長と経験を促す役目。人は、じぶんの生まれ持った力をくまなく表現できる時、生きている幸せを感じることができる。「人の可能性や感性を引き出し、輝かせることを通じ、社会にじぶんを還元すること」という20年来の夢 をわたしは最高の舞台で叶えさせてもらえたのだ。そしてそれは今もつづくわたしの日常となった。

わたしは運ばれた
じぶんの人生に自由を許したあの日から

4回に渡りつづいたお話はこれでおしまいだ。最後まで読んで下さってどうもありがとう。人生の底でたったひとり途方にくれた日々も、大きな流れの中の一点でしかなかったんだね。今ではすばらしい仲間に囲まれているよ。そう昔のじぶんに教えてあげたい。たくさんの偶然とわたしがわたしになる為に出逢ってくれたみんなに心から感謝して。あなたのお蔭で今のわたしがここにいます。

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