路面電車が、ゆるやかな坂道を駆ける。古い石造りの建物が並び、通りのずっと向こうには時計台が見える。人びとは、せわしなく歩く。なんだか「ジブリみたいだ」、と思った。アニメーション映画で見たような、キキが舞い降りてきそうなまちに見えた。
「信号の数より多い」というのは、さすがに冗談だと思うが、このまちにはカフェがたくさんある。建物やまち並みにかぎらず、さまざまな欧州の様式や嗜好が、いろいろな形で「多文化」のなかにとけ込んでいるのだ。数年前、アメリカの大規模チェーンのコーヒー店は、事実上、撤退を強いられたという記事を読んだ。多くは個人経…
中心業務地区(CBD)の大部分は、無料でトラムに乗ることができる「フリーゾーン」になっている。まちは碁盤の目のようにつくられているので、主だった通りの名前や建物さえ頭に入れておけば、気軽にまちなかを動き回れるようになる。もとより、すべてがコンパクトにまとまっているので、いざとなったら歩けばいい。…
昨年、そして一昨年は、仏生山温泉の入り口の脇にテントを張って、汗だくになりながらカレーをつくっていた。どうしても暑さに耐えられなくなると、中に入って畳に足を伸ばして、かき氷を食べた。カレーを食べて、また汗をかいた。ちょうど一年前、「また来年も、同じ日に来ます」と言いながら高松を後にしたのだが、今…