これからまとめるEDPのツールキット

デザイン思考で使えるツールやプロセスは、d.schoolIDEOなどが数多く提供してくれています。また、KJ法をはじめとする古典的な定性的調査手法もまったく古びてはおらず、現代のデザイン思考教育においても非常に有効です。さらには、プロダクトデザイン、サービスデザイン、ソーシャルデザインといった領域まで広げると、実に多彩な考え方が存在します。

しかしながら、東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト(EDP)の講義では、こうしたツールやプロセスの話はほとんどしません。じゃあどうしてるんだというと、スタンフォード大学Larry Leifer教授の「Dance with ambiguity」という言葉をひたすら連呼するだけです。

教える側の手抜きのようにも見えますし、確かに手を抜いているような気もするんですけども💦、最終発表会を見たり、受講生のMediumの記事を読んだりしている限りは、うまく機能しているようです(下記参照)。

どの順番で始めようと問題ではありません

先生方も可能性を示すことは出来ますが、こうすれば大丈夫なんて言いません

結局は、ユーザー視点に立つこと、ユーザーの気持ちを汲み取るために何をしてやろうかを考えていく必要がある

デザインプロセスの話は……すでにやめてた

2016年度の講義の途中に、d.schoolの講師が「デザイン・プロセスの話はもうやめよう」という記事を書きました。これを読みながら、教員同士で「わかるわー」という話をしたのを覚えています。EDPも対外的には「デザイン思考」を教える講義ということになっていますので、これを読んで「私たちもプロセスの話はもうやめよう……」という気になったわけではなく、実際にはガチでモノづくりをやる講義なので、そもそも最初からプロセスの話などしていないのです。その意味での「わかるわー」です。

それだけでなく、ツールを厳密に使うこともありません。実際、使用するツールをまとめた資料を教員は誰も持っていません(全体の状況を見ながら、数日前に講義を考えるという臨機応変的な、悪く言えば「綱渡り」的なスタイル!!)。したがって「デザイン思考を教えているのか?」と聞かれると、「も、もちろんですよ……(震え声)」と答えると思います。

とはいえ、来年度に向けて、現在は「再現性をどれだけ確保できるか」が課題になっています。映画「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー」のドニー・イェンよろしく念仏のように「Dance with ambiguity」を唱えるだけでうまくいったのは、単なる偶然かもしれないので、少しずつ暗黙知を言葉にして、何らかの形でメソッドにしていきたいと思っています。

EDPツールキット(仮)

以下は、(あくまでも個人的に)講義のなかで使っていた言葉をまとめたものです。独自に作ったものもあれば、他の分野から借りてきたもの、有名な言葉を引用しているものもあります。いずれはEDPのツールキットを作りたいなあと妄想しています。もちろん使う or 使わないは受講生次第で、こちらから強制することはありません。

ひとまずは、以下にツールの「名前」と「既存の記事へのリンク」をまとめておきます。リンクのない項目の内容についてはまた今度。

チームビルディング

共感/定義

発想/試作

検証

  • 手書きのフライヤー
  • 起承転結の4コマ漫画
  • Kickstarterみたいな動画
  • 3分ピッチング
  • でもやるんだよ!

フィードバック/コーチング/ティーチング

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角 征典 (@kdmsnr)
東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト

ワイクル株式会社 代表取締役 / 東京工業大学 特任講師 / 翻訳『リーダブルコード』『Running Lean』『Team Geek』『エクストリームプログラミング』他多数