年が明け、2016年4月から12月までのすべてのお宅訪問が終わった。12月の訪問日、9ヶ月間、通いつづけてきた彼女たちの最寄り駅の去ろうとした時、私は思わず駅の写真を撮っていた。この研究が終わりに向かうからといって、彼女たちとの関係が終わるわけではないのに、どこか寂しさを感じてしまう。9ヶ月間という期間は、長いようで短かった。
昨年12月、私は仲間と共に最後のライブを終えた。1年間にわたる12回のフィールドワークで、私たち「ごはんつぶ」は51曲を、のべ248人に届けた。
ライフスタイル本が売れるのには、理由があると思う。
Booksという、書籍の検索サイトでタイトルに「暮らし」が含まれる書籍を検索したところ、2010年から毎年増え続け、2014年には203件、2015年には230件、2016年には243件が出版されているということがわかった。タイトルやサブタイトルに「暮らし」というキーワードが含まれていないだけで、暮らしについて考えている本はもっと多いだろう。
キャッチボールは毎回状況が違う。日によって2人のテンションも、会話の内容も、投げるペースも違う。
私がもともとこのプロジェクトでやりたかったことは、キャッチボールを通して見える弟の変化を記録することである。つまり、「インタビュー手法としての」キャッチボールである。これは、たまったデータを分析しなくては何も見えてこない。今回はビデオ分析をして少しずつ見えてきたことを紹介する。
雲がうっすらと空を覆う秋の昼。私は仲間と共に大学を抜け出し、意気揚々と歩いていた。
近代的なデザインの建物が立ち並ぶキャンパスの端っこに、ひっそりと身を構えている灰色の部室棟。そのさらに奥の雑木林を抜けると、別世界かと見紛うほどののどかな田園風景が広がっている。田畑の間を少し進むと、右手に宇都母知神社が見えてくる。本殿を囲む背の高い木々が、風に吹かれてわさわさと揺れる。
東京はもうすっかり冬になってしまった。
2年前に買ったお気にいりのセーターをひっぱり出して、陰干しをする。くたびれたムートンブーツは思い切って捨てることにした。出かけるときはへんな形のボトルにあたたかい紅茶をいれて持ち歩く。
11ヶ月、毎日「いい暮らし」を考えながら過ごしていたら、だんだんとわかってきたような気がする。丁寧にモノや人と向き合いながら、潔く身の回りを整えて、ムダやムリをなくすことが「いい暮らし」に近づく道なのだ。
11月になった。コンビニで頻繁に買われるコーヒーのレシートを見ると、アイスからホットに変わりはじめ、冬の近づきを感じる。12月まで実施するお宅訪問も残すところ、あと2回となってしまった。
モノから見るきょうだいの関係性
姉妹とモノにまつわるエピソードを集めるにあたり、私は、今までもらってきた計1000枚のレシートを見返した。そして、その中から気になる商品(アイテム)を見つけ出し、そのアイテムが登場するすべてのレシートをスケッチブックに貼りだすことにした。このスケッチブックを持ってお宅訪問に向かい、実際に話を聞く…
9月になり、街中を歩く人の姿もすっかり秋らしくなってきた。最近は、夜、姉妹のお宅に足を運ぶと、辺りはすぐに暗くなってしまう。4月から毎月H姉妹とY姉妹、2つのお宅訪問をしてレシートをもらい、私の手元にはたくさんのデータが集まってきた。
レシートはおもしろい
この夏休み、(1)で挙げた2つ目の方法「レシート分析」に取りかかるにあたり、両姉妹からもらった4月分から8月分までのレシート1枚1枚をエクセルに打ち込んだ。その量は、計800枚近く。(1)でも述べたように、レシートには膨大な情報が詰まっている。お店の名前、お…
家族のことは、案外よく知らない。 このプロジェクトは、近いようでいてなかなかあえてコミュニケーションをとることのない自分の家族について捉えてみようというおもいから始まった。
日曜日の午後1時。私は「古民家食堂 ごんばち」の入り口の前に立っていた。後ろには「ごはんつぶ。」の仲間がいる。こうしてここを訪れるのは、8回目。今日はどんな出会いが待っているのだろうか。期待に胸をふくらませつつ、慣れ親しんだ暖簾をくぐる。