フィンランドに住む準備(1年間の在外研究)3:プレスクールと小学校探し

Hiraku Sakamoto
Happy Mom, Happy Family
12 min readApr 23, 2020
【本シリーズ共通の序文】Happy Mom Junonのオットです。日本の大学に所属する研究者です。2019年夏から1年間の予定で、フィンランドAalto大学にて在外研究のため、家族(妻・子供2人)と共にフィンランド(ヘルシンキ)に滞在しています(執筆時点(2020年4月)では、新型コロナウィルスのため外出自粛中ですが)。ここでは私たちがフィンランドで生活を開始するにあたって特に困ったこと、どう解決したかの記録を残しておきます。今後、ますます多くの研究者がフィンランドと日本を往来して共同研究を盛んにする、そんな未来の実現の一助となれましたらと思います。本記事の内容は2019年夏時点でのスナップショットですので、実際の渡航にあたっては自身で最新情報をご確認ください。

今回、フィンランドでのサバティカル(在外研究)に、2人の子供を伴ってきました。長男(こう君)は小学生。次男(しゅんくん)は、日本を出発する時点では年長でした。フィンランドでは、小学校が始まる1年前から、プレスクールでの義務教育があります。子供2人の学校(次男のプレスクールと、長男の小学校)を現地でどうやって見つけるのかは、悩みの種でした。

次男は保育園で年長、長男は小学生低学年でした。フィンランド1年間滞在に際し学校探しをしました。

学校探しのこだわりは家族それぞれだとは思いますが、参考までに、私たちのヘルシンキでの学校探し体験を今回の記事で書いておきます。

なお、前回同様、フィンランド生活に関する基本的な情報は以下から得られることを再掲しておきます。

フィンランド日本人会「フィンランド渡航&生活ハンドブック」https://finnihonjinkai.wixsite.com/about
「Expat Finland: The Finland Guidebook」https://www.expat-finland.com/

次男のプレスクールさがし

フィンランドでは日本と異なり、小学校に入る1年前から義務教育が始まります。正式には、ヘルシンキ市で公立のPreschoolに参加するには1月中に申し込みが必要のようです。https://www.hel.fi/helsinki/en/childhood-and-education/day-care/preschool/applying/

#私立の幼稚園/Preschoolという選択肢もありますが、次男については私たちは公立のPreschoolのみを探しました。フィンランド語での教育も挑戦のしがいがあるかなと。

事前の調査が甘かったこともあり、結局私たちは2019年夏にヘルシンキ市へやってきてから相談を開始しました。

とりあえずホームページで見つけた市の窓口へメールで問い合わせをしました。結果、学期途中からの参加の場合は、近所の公立のDaycareに直接相談をすれば良いと回答を得ました。
https://www.hel.fi/Helsinki/en/childhood-and-education/day-care/preschool/

Please send your pre-school application by mail to the day care you want your child to go or you can leave it directly to the day care manager.

そこで、ホームページ上にあるApplication Formに入力(英語版のフォームもあり助かりました)。

次に、近所のDaycare centerを探しました。こちらはフィンランド語のホームページしかないので、Google翻訳のお世話になりました。https://www.hel.fi/varhaiskasvatus/fi/alueet/alueet

まずは滞在先に一番近いDaycare centerのマネージャーさんのアドレスに(英語で)直接メールしたところ、数日後に面談の約束が取れました。

約束の日時に家族で近所のDaycare centerへ訪問しました。残念ながら、そこのPreschoolの枠はすでにいっぱいで入れないということ。Applicationは受け取ったので、近くのPreschoolのどこかに必ず4か月以内にはアサインされる、ということでした。

4か月かあ、準備が遅かったからしょうがないか…、と思っていたところ、わずか2日後に、徒歩15分程度で登校できるPreschoolに空きがあるので入れる、と電話で連絡をいただけました! 私たちが滞在している家族寮から3番目に近いDaycare centerでした。

というわけで、渡航前に準備しておけばもっとスムーズだったかも知れない、とは思いますが、結果として我々はたいへん迅速に対応してもらえて、フィンランドへ来て早期にPreschoolへ入れてもらえました。Preschoolの先生方はお忙しいのに、我々のようにふらっと来た外国人に迅速に(しかも英語で)対応していただけて、本当にありがたいです。

プレスクールでの教育

上記のようにして入学した次男のPreschoolは、フィンランド語での教育なのにも関わらず、フィンランド語も英語も話せない次男を手厚くサポートしてくれています。おかげで素晴らしい体験ができています。

プレスクールでの体験については、妻のHappy Mom Junonが記事を書いていますのでご参照ください:プレスクールさがし(Junon)
フィンランドのプレスクールの素敵な点-1(Junon)
フィンランドのプレスクールの素敵な点-2(Junon)
プレスクールの先生が書いてくれるノートと、指差し会話用のピクトグラム
フィンランドでは雪の日でも朝一番で外遊び。慌てて防寒/防水の服を揃えました。

長男の小学校さがし

小学校については、選択肢は Expat Finland にある通りです。

・Finnish Education System & How to Join https://www.expat-finland.com/living_in_finland/education.html
・International Schools & Private Schools https://www.expat-finland.com/living_in_finland/international_schools.html

うちでは長男がヘルシンキで通う小学校として、以下の3つの候補を検討しました。
1. 私立の英語学校
2. 公立の英語学校
3. 近所の公立学校(フィンランド語での教育)

1.の私立の英語学校(英語教育のInternational School)は、ヘルシンキの2校を訪問して見学し、うち1校に出願書類を提出しました。日本の小学校の先生に、英語で推薦書を書いていただきました。ただしすでに定員いっぱいだったので、Waiting Listで順番待ち。結局、後述のとおり公立学校に馴染むことができたので、International Schoolから空きができたと数か月後に連絡いただいたとき、入学を希望しませんでした。

振り返ると、どうせWaiting Listに載せるのであれば、日本にいたうちに出願書類を出しておけばもっとスムーズだったと思います。
#学費は高いですが、日本のInternational Schoolと比較すると格安なのかなと。長期で滞在する場合で、英語教育を希望する場合は、有力な選択肢となると思います。

2.公立の英語学校について。フィンランドでは、英語で教育を行っている公立の小学校があります。しかし、問い合わせたところ、入学可能な時期が限られていることから私たちは入学を諦めました。聞いたところでは、入学の英語試験がかなりハイレベルだということです。長期で滞在する場合で、英語での教育を希望する場合に良い選択肢と思います。

3.フィンランド語での公立学校に、結局、うちの長男は入学しました。日本にいたときから、滞在宿舎のそばの小学校の校長先生に何度かメールを送っていたのですが、返信がありませんでした。フィンランドに来てから電話してリマインドしたところ、副校長先生から返信をもらうことができました。次男のPreschoolと同様に、Application Formに記入したものを持参して、副校長先生との面談に訪問をしました。すると、さっそくクラスに入れる、ということでした。

Enrollment at school: https://www.hel.fi/helsinki/en/childhood-and-education/comprehensive/enrollment/koululla/
英語のフォーム: https://www.hel.fi/kasvatuksen-ja-koulutuksen-toimiala/en/services/forms/

2度目の小学校への訪問で、担任の先生とお会いして初日の登校日など相談させてもらいました。不思議なことに、親のほうがハラハラ心配していた一方で、長男のほうは「何とかなるよ」と前向きでした。長男は、フィンランド語は全く話せず、英語も短期間だけオンライン英会話レッスンを受けただけだったのですが。

初日登校すると、長男は「たくさんのフィンランドの子たちが、英語で話しかけてくれたよ!」と楽しそうに帰ってきて、その後もうまく小学校に馴染んでいます。道徳の授業だけは不参加とさせてもらって、その他の授業は(コロナウィルスで遠隔授業になるまでは)元気に出席していました。

私たちは1年間の短期滞在なので、語学の習得よりは、家から近い学校で異文化体験すること、を選択しました。こんなのんきな1年間を過ごしたことが子供の成長にどう影響するかは不明ですが、英語以外の学校で友達を作り、授業に参加し続けていることが、人生にとってマイナスになるとは思えず、とても貴重な体験ができていると、少なくとも親のほうは感じています。

日の出が遅い11月~12月は、朝、真っ暗ななかで登校することに最初は驚きました。

ヘルシンキ日本語補習学校への参加

フィンランドで日本語を学ぶ、日本国籍を持つ子女、および日系人子女たちのためのヘルシンキ日本語補習学校が毎週土曜午前に開かれています。短期滞在の我々にはあまり関係ないのかなと当初考えていたのですが、まったくの誤りでした。

上記のとおり平日はフィンランド語に囲まれた生活をしている子供2人とも、日本語で遊べる友達と会えることは本当にうれしいようで、毎週の土曜日を楽しみにするようになりました。何より、親の我々が、慣れないフィンランドでの生活で困ったことをいろいろなご家族に次々と相談させていただくことができ、おかげで比較的短期に生活に馴染むことができました。

実はこの記事に書いたこともほとんどは、学校探し経験のあるご家族から教えていただいた情報に基づいています。ボランティアベースで学校を運営する、非常に前向きな方々がたくさんいるコミュニティの一員になれたことはとても嬉しい体験で、我々のような、かりそめの客でも快く受け入れていただけて大変ありがたいです。

おわりに

学校探しはかなり労力がかかり、わからないことが多く親も神経をすり減らしましたし、子供も新環境に慣れるのにがんばってくれました。何より受け入れてくれるフィンランドの皆さんにも苦労をおかけすることになりました。

それでも、厚かましくも思うに、この相手側にも苦労をかける状況のハラハラする気持ちこそが、海外移住でできる体験の最大の醍醐味なのかなと思います。日本に居たら異文化の環境で家族で一致団結してあれこれ考え、外国語で交渉する機会などないでしょう。

自分の親たちや他の大人たちが、満点は望めなくてもその時点でのベストを尽くそうと、異国の地で前向きに検討している。その姿を、子供たちが大きくなってからも少しでも憶えてくれているといいなと思います。

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Hiraku Sakamoto
Happy Mom, Happy Family

Associate Professor; Engineering Sciences and Design (ESD) Graduate Major, Department of Mechanical Engineering, Tokyo Institute of Technology, Japan.