Happy Wedding Onigiri
「俺が握ったおにぎり、食べられる?」
突然の質問だった。
土曜の昼下がり、幼馴染のタケの結婚披露宴。旧友たちが囲む円卓を突き破る、竜太の突飛な質問。
「どうしたの、急に?」
高砂に座る新郎のタケと新婦を横目に、軽やかに談笑していただけに、あまりに唐突な問いに対して、僕たちはただただ、聞き返すのがやっとだった。
「俺、ムリなんだよね。おばさんとかが素手で握ったおにぎり、食べられないんだよ。お母さんでもムリ」と、竜太。
色々と聞きたいことはあった。誰であってもダメなのか、コンビニのおにぎりは大丈夫なのか、なぜこのタイミングで聞くのか。
「えっと、誰が握っても、ダメなの?」
「ダメ。特に、おばさん」…