世界史を学ぶことで、これまで点在していた各国の今の動きが、線で結ばれた気がした。
ヒカリエの前に季節外れの巨大なクリスマスツリーが現れ、薄手のジャケットでは凌げない寒さが底を覆い、駅前に酔っ払いが増えたら、もう師走だ。
まだ11月なのだが。
縺れる舌ともたつく足元とよれよれの背広が亥時の歩道を埋め尽くすなか、ポケットに手を突っ込んでオフィスから駅へと突っ切って行く日々を繰り返していると、数年前、同じように帰途の最中、色々な悩みや焦りが絶えず渦巻いていた過去の自分を、つい思い出してしまう。
AV男優のしみけんさんは非常にストイックで、僕は、彼のそんなところを尊敬している。
AV男優への志願欲があるわけではない。しかし、定期的にトレーニングに勤しみ、毎朝、しっかりと栄養を補給する彼の生活は参考になるし、真似をしたいと思っている。 起床後、真っ先にBCAAを常温のポカリスエットで流し込み、コーヒーを飲んでからエアロバイクを数十分漕ぐ。コーヒーは脂肪を燃焼させる効果があるために飲んでいるという。 軽い有酸素運動のあとに、鳥のササミ、納豆などの高タンパク朝食。そして、プロテイン。理想的な朝の使い方ではないか。
それは秋らしい柔かな澄んだ陽ざしが、紺の大分はげ落ちた暖簾の下から静かに店先に差し込んでいる時だった。〜「おい、幸さん。そろそろお前の好きな鮪の脂身が食べられる頃だネ」
一文で季節と情景を描き、一言で味覚を刺激する。こんな端的に五感を表現したいものだ。そして願わくばこんな通な会話をしてみたい。「旬」の食材を楽しむことは、単なる美食よりも、よっぽど深く「人生」を堪能しているような気がする。
吹きさらしのホームに、冬が訪れた。京都府の端、田舎町。駅には、風を防ぐものなど、ない。右から左へ通り抜ける小言のように、風は自由に走り抜ける。凍えるように寒く、手袋や、それといった類のものを持ってこなかった自分自身を、僕は呪った。 田舎の駅で電車の到着を見るのは稀だろう。つまりは、だ。電車を逃すということは、寒さとの長い格闘を意味する。…
昨年の盆、名古屋に帰省した。数日間を実家で過ごして分かったことは、父親がとんでもなく早起きになっているということだった。その頃僕は、『21世紀の歴史は朝に作られる」なんて記事を読んだばかりで、早起きしたいなーと、漠然と”願って”いた。なんでも、ナイキのCEOは5時に起床していたり、スターバックスやツイッター、その他大多数のCEOはみんな例外なく早起きとのことだったので、僕も早起きしなければ!と発起したものの、朝日が顔を撫でる度にウンウンと唸りながら、布団の端から端を転げる朝が続くばかりだった。
「あんたたち、耳を澄ますなんてこと、しないでしょ」と断定口調で言われたことを覚えている。大学生の頃、スペイン語の講師から言われた言葉だ。京都の私立大学の1コマを教える彼女は、齢五十を過ぎた白髪の日本人で、どこか変わった人だった。
何回目かの授業で、僕が辞書を持っていないことを告白すると、「あんた、辞書を持たずにどうやって今までスペイン語の授業を切り抜けてたわけ?」と驚いて問いただしてきた。…
Happy Wedding Onigiri
「俺が握ったおにぎり、食べられる?」突然の質問だった。土曜の昼下がり、幼馴染のタケの結婚披露宴。旧友たちが囲む円卓を突き破る、竜太の突飛な質問。「どうしたの、急に?」高砂に座る新郎のタケと新婦を横目に、軽やかに談笑していただけに、あまりに唐突な問いに対して、僕たちはただただ、聞き返すのがやっとだった。「俺、ムリなんだよね。おばさんとかが素手で握ったおにぎり、食べられないんだよ。お母さんでもムリ」と、竜太。色々と聞きたいことはあった。誰であってもダメなのか、コンビニのおにぎりは大丈夫なのか、なぜこのタイミングで聞くのか。「えっと、誰が握っても、ダメなの?」「ダメ。特に、おばさん」…
扉を抜けると、そこは5分後の未来だった。
異世界に紛れ込んでしまった経験はあるだろうか。僕は、ある。正確には、幼心に異世界と信じて疑わなかった世界での経験に過ぎないのだが。
小学1年生の頃だった気がする。季節を正確に覚えていないのだが、薄着の割には、早々に陽が落ちて、赤とんぼが飛んでいたから、おそらく秋だったのだろう。…
お題を与えられると、カーペットの染みのように、その一点を中心にジワジワとイメージが広がっていくのですが、テーマを選べと言われると、なかなか難しいものがあります。興味深いテーマとは何か、それは書き切れるものなのか、面白いのか、等々。
選んだ後のことを気にしすぎて、安易に決められないのでしょうね。自分が選ぶ立場に立たされると、石橋を叩きに叩いて、結局渡らないタイプです。
These were the top 10 stories published by Basically Fiction in 2015. You can also dive into monthly archives for 2015 by using the calendar at the top of this page.