ブロックチェーンゲーム市場レポート:NFT取引(2019年 2Q)

Hiroyuki Narita
Metaps Blockchain JP
9 min readJul 31, 2019

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今回、ブロックチェーンゲーム市場(NFTのセカンダリー取引)における2019年 2Q(2019年4月1日〜6月30日)の動向をレポートにしました。

*今回、月次レポートのような詳細な考察を省き、ビジュアルデータを中心にまとめております。

なお、本レポートでは、下記抽出対象に基づくブロックチェーンのトランザクションデータを参照しております。(参照データ:EtherscanBigQuery

*抽出条件

  • NFTのユーザー間取引により発生(OpenSeaAuctionityなどのマーケットプレイス及びCryptoKittiesなどのゲーム内マーケットのトランザクションを対象とする)
  • 独自トークンによる取引はETH・USD換算にて算出(MANAなど)
  • Decentraland を除く取引を算出
  • Ethereum上で発生
  • 2019年4月1日〜2019年6月30日に発生

目次

  • 2Qセカンダリーマーケットの動向
  • タイトル別 累計取引高 割合
  • 取引額TOP3
  • カテゴリ割合
  • トークン比較
  • 注目ニュータイトル
  • マーケットプレイス比較

2Qセカンダリーマーケットの動向

【2Q Summary】

ETH価格の上昇もありUSD建の取引高推移に関してのみ、上下を繰り返しながら横ばいに推移しましたが、その他の項目については全て右肩下がりの推移となり、全体的に下落傾向となった四半期でした。

-主要トピックス-

タイトル別 累計取引高 割合

【2Qの累計取引高のタイトル別 割合】

この2Qで累計取引高が高かったタイトルが My Crypto Heroes(以降 MCHと表記)でした。

4月のレポートでも触れた通り、MCHは独自のエコシステムでゲームリリース後にユーザーをしっかりと取り込み、ゲームプレイを通じてアセット価値を向上させたユニークなタイトルであり、2Qもその独自の取り組みにより恒常的な取引を発生させてきたと考えられます。

取引額TOP3

【2Q 取引額 TOP3】

累計取引高では5番手に位置していたZedToken(以降 ZEDと表記)でしたが、取引を個別に見た場合、もっとも高額な取引が行われたタイトルがZEDの100ETHでした。

続いて2番目に取引額が大きかったタイトルにAxie Infinity(以降 Axieと表記)の40 ETH、そして3番目にMCHの38 ETHといった順位となりました。

カテゴリ割合

【取引されているカテゴリの割合 】

先ほどはBattleカテゴリであるMCHがもっとも取引高の割合が多いタイトルとなっていましたが、カテゴリ別に比較してみるとCryptoKittiesMLB Champions(以降 MLBと表記)に代表されるCollectionが半数を占めているのがわかります。

クラウドセールで900 ETHの売上を記録した日本初のブロックチェーントレーディングカードゲームCryptoSpellsのカテゴリであるTCGは全体において2.4%となっています。CryptoSpellsのセカンダリー取引は7月に入ってからとなっており、さらに現在セカンダリー取引がスタートしていないビックタイトルにGods Unhainedがあるため、今後これらのタイトルの取引が入ってきた際にどのように変化してくるか注目したいと思います。

トークン比較

【TOP3トークンの取引高割合 】

-その他 NFT取引に利用されているトークン一覧-

現在、NFTのセカンダリー取引にはおよそ16種類の多様なトークンが利用されております。

しかしながら、その割合を見てみると主に上記の3つのトークンで取引が行われており、その中でもETHが9割以上を占めているのがわかります。

注目ニュータイトル

【2Q中に新規セカンダリー取引を開始した主要なタイトル 】

Neon Districtはバトルゲームで、カードゲームの要素とMMORPGの要素を結合させたブロックチェーンゲームとなっています。主な特徴に、「アセットはレベルアップなどを行うことで能力とともに見た目も変化」や「バトルの観戦に加えて勝敗をベットすることが可能」、「 バトルはソロとギルドが用意」といったこれまでのブロックチェーンには無かった本格的なバトルゲーム要素が盛り込まれた注目のタイトルとなっています。

ZEDは競走馬育成ゲームで、購入したサラブレッドをレースに出して勝敗を楽しむだけでなく、繁殖によってサラブレッドの価値を高めていくブロックチェーンゲームです。サラブレットの強さは血統と遺伝子の掛け合わせで決定し、繁殖を繰り返すことで最強のサラブレッドを作り上げることができる本格的な競走馬育成ゲームとなっています。

F1® Delta Timeはモバイルゲーム会社のAnimoca BrandsがFormula1® (F1)とグローバルライセンスを締結し開発しているブロックチェーンゲームです。5月に行なった初回オークションに出品された1–1–1マシンは415.9ETH(約1,225万円)で落札され注目されました。その後もオークションは行われ、いずれも出品マシンが100ETHを超える落札額なっており、今後実施予定のオークションに大きな期待が集まっております。

CryptoKittiesのクリエイターチームが開発した新作のブロックチェーンゲームで、チーズのキャラクターを戦わせて賞金を奪い合うバトルロイヤルゲームとなっています。8月にはCheezeWizardのエコシステム上にプロダクトを構築するハッカソンも予定しており、さらなる盛り上がりが期待されています。

Crypto Stampは、実際の郵便配達に使用でき、 種類も5種類とコレクション要素を備えたデジタルアイテムとなっています。価格は6.90ユーロで、発行数は合計15万枚となっており、すでに100万ドルも販売された人気のデジタルアイテムとなりました。セカンダリー取引においても、OpenSeaの週間取引高ランキンで上位に位置する人気タイトルとなっており、非ゲームのNFTとしては面白い事例といえ、今後の取引高推移の行方が注目されます。

マーケットプレイス比較

【主要3マーケットプレイス比較 】

主要3マーケットプレイスを比較すると、この2QにおいてはOpenSeaの数値がどの項目においてもTOPであったことが言え、現状のNFT取引におけるマーケットプレイスとしては大きな存在となっていることが伺えます。

【取引タイトル比率】

  • OpenSea:MCHの取引が全体の61.3%を占めています。
  • Auctionity:CryptoKittiesの取引が全体の44.6%を占めています。
  • SpiderDEXBlockchainCutiesの取引が全体の86.9%を占めています。

マーケットプレイス別に取引されているタイトルの比率を見てみると、それぞれ異なるタイトルが取引されているのがわかります。

今回、2019年2Qを振り返るレポートをお届けしまたが、本シリーズでは月次で詳細なNFTセカンダリーマーケットの動向にレポートにしております。今後も引き続き月次レポートと四半期レポートの2つレポートを交えて、NFTのセカンダリーマーケットを定期観測して行きたいと思います。

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