Homepage
Open in app
Sign in
Get started
Modern Japanese Literature as a Commons
このアーカイブについて
Follow
コモンズとしての日本近代文学:このアーカイブについて
コモンズとしての日本近代文学:このアーカイブについて
ここでは、21編のパブリックドメインの日本近代文学作品を青空文庫より選び、著者がそれぞれに応答して文章を書き下ろした、ドミニク・チェン「コモンズとしての日本近代文学」(イースト・プレス、2021年8月20日刊行)に収められた21編の書き下ろし文のみを集め、オープンソースの思想に基…
Dominick Chen
Aug 14, 2021
あとがき
あとがき
本書は不思議な本であると同時に、不思議についての本でもある。不思議な本であると思うのは、編著者であるわたしの書き下ろした文章に加え、すでに他界して長い年月が経っている21人の作家たちの文章によって構成されているからだ。いわば、著作権の保護期間が過ぎてパブリック・ドメインに…
Dominick Chen
Aug 12, 2021
はじめに・文芸オープンソース宣言
はじめに・文芸オープンソース宣言
今日、日本語で書かれた近代文学作品の多くにネット上でアクセスできる。インターネットの電子図書館「青空文庫」には、2021年7月の時点で1万6千以上の作品が収録されており、その大半が著作権の保護期間が過ぎたパブリック・ドメインのものだ。パソコンから、もしくはスマホやタブレットから、…
Dominick Chen
Aug 12, 2021
Latest stories
三遊亭圓朝『落語の濫觴』:落語の未来
三遊亭圓朝『落語の濫觴』:落語の未来
一般的に、寄席やラジオなどで落語家の噺に聴き入ることはあっても、文章として読むということはあまりないのではないだろうか。その理由を考えるに、落語の噺は筋や台詞が決まっているが、噺家によって十人十色のアレンジが加えられるし、なによりも演者に固有のふら、つまり言葉にできないおかし…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
小川未明『赤い蝋燭と人魚』: 死者と生きる童話
小川未明『赤い蝋燭と人魚』: 死者と生きる童話
子どもが生まれてから、寝かしつける際に絵本を読み聞かせたり、子守唄を歌うようになった。数年の間、少しずつ童話と童謡の世界に親しむうちに、絵本の物語の作られ方に興味が湧いてきた。というのも、何度も何度も経典のように同じ絵本を読み上げることで、大人が読み親しむ小説とは異なる妙味が…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
夏目漱石『夢十夜』:無意識を滋養する術
夏目漱石『夢十夜』:無意識を滋養する術
「こんな夢をみた」という書き出しが有名な漱石の幻想小説である。現代、太古、中世といった時代が入り乱れる時間軸の混乱、脈絡のないシナリオの展開、主客が混交する視点など、夢の特徴を備えた小話10篇によって構成されている。全体的に不穏な空気が漂い、死を匂わせる語彙が散りばめられ…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
岡倉天心『茶の本』:東西翻訳奇譚
岡倉天心『茶の本』:東西翻訳奇譚
『茶の本』は、1906年に岡倉「天心」覚三が英語で書き、ニューヨークで出版した『The Book of Tea』を村岡博が邦訳したもので、1929年に初版とある。村岡は、天心の弟で英語学者であった岡倉由三郎の塾生で、東京高等師範学校の教授を務めていたらしい。
Dominick Chen
Aug 19, 2021
石川啄木『一握の砂』:喜びの香り
石川啄木『一握の砂』:喜びの香り
わたしは数年前から発酵微生物と人間のコミュニケーションを研究している。その関係で先日、新潟の長岡市で「星六」という老舗の味噌作り店を訪ねる機会があった。その時、ご主人の星野さんから手渡された店のパンフレットに、啄木の歌が書かれているのに目を引かれた。
Dominick Chen
Aug 19, 2021
九鬼周造『「いき」の構造』:永遠と無限の閾
九鬼周造『「いき」の構造』:永遠と無限の閾
九鬼周造(1888−1941)は、岡倉天心を精神的な父親として慕いながら、ハイデッガーのもとで現象学を学び、同時にベルクソンの強い影響も受けた思想家である。ヨーロッパ留学を終えて帰国してから1930年に書かれた『「いき」の構造』は、そんな九鬼の生きた、東と西が邂逅する物語を…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
和辻哲郎『古寺巡礼』:結晶する風土
和辻哲郎『古寺巡礼』:結晶する風土
インドから、中国、朝鮮、そして日本に至り、さらにはギリシャまで遡る歴史的な軌跡を、大いなる情感を湧き起こしながら、なぞりなおす。若き日の和辻の、そんな視線を辿っていくと、古都の寺社仏閣が建立当時の彩りを帯び直し、仏像たちが彫塑される様子が目に見えてくるようである。
Dominick Chen
Aug 19, 2021
宮沢賢治『インドラの網』:縁起を生きるための文学
宮沢賢治『インドラの網』:縁起を生きるための文学
ヒンズー教において天上と地上の世界を統べるインドラは、仏教に改宗して帝釈天と呼ばれるようになった。空海が中国より持ち帰り、発展させた華厳経では、このインドラが住む宮殿のアーキテクチャをイメージすることが、生きながらにして悟る(即身成仏)ための方法として説かれている。
Dominick Chen
Aug 19, 2021
南方熊楠『神社合祀に関する意見』:神々と生命のエコロジー
南方熊楠『神社合祀に関する意見』:神々と生命のエコロジー
この文章は、明治政府が推進していた神社合祀に反対する運動への協力を求めるべく、南方熊楠が植物学者の白井光太郎に宛てた書簡である。全体で3万2千字ほどもある長文であり、内容も私信のレベルを超えて大論文の威容を放っている。現代でいえば「超長文メール」が公のものとして保存されて…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
内藤湖南『大阪の町人学者富永仲基』:アップデートされる宗教
内藤湖南『大阪の町人学者富永仲基』:アップデートされる宗教
大正14年(1925)、日本と中国の歴史に精通する東洋学者として知られる内藤湖南が59歳の時に、大阪毎日新聞の講演会で話した時の筆記である。表題の示す通り、18世紀前半を生きた大阪出身の町人学者、富永仲基がいかに先進的な宗教研究を行ったか、ということを集中的に語っている。
Dominick Chen
Aug 19, 2021
泉 鏡花『海神別荘』:異界の論理
泉 鏡花『海神別荘』:異界の論理
なんという混沌とした、それでいてエレガントなイメージの喚起力なのだろう。海の底の奇譚『海神別荘』、奥深い山中の怪談『高野聖』†、もしくは春の昼下がりに起こる夢の交差録『春昼』†を読む時、まるでジャン・ピエール・ジュネのファンタジー映画かミシェル・ゴンドリーのミュージック…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
折口信夫『死者の書』:死者と生者の異時同図
折口信夫『死者の書』:死者と生者の異時同図
これは登場人物たちが時間と空間を超越し、彼らの人格もまた融解しあう、不可思議な物語だ。「不可思議」とは本来「思議すべからず」という意で、人間に備わった生来の感覚や思考では体験し得ないことを指す。『死者の書』における不可思議とは、まずもって「死」そのものであり、次に死者との交感…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
柳 宗悦『雑器の美』:アノニマス・デザインの愛で方
柳 宗悦『雑器の美』:アノニマス・デザインの愛で方
日常の他愛のない雑器の価値を積極的に見出そうとするこの短いテキストは、1926年、柳宗悦が37歳の時に書かれた。この前年には「民藝」という概念を提唱し、同26年に「日本民藝美術館設立趣意書」を発表、翌々年の1928年にはその理論モデルとなる『工藝の道』†を著している。
Dominick Chen
Aug 19, 2021
林 芙美子『清貧の書』:世界への信頼を回復する
林 芙美子『清貧の書』:世界への信頼を回復する
1929年10月のウォールストリートにおける株価の大暴落が発端となり、翌1930年には世界中に経済恐慌が伝播していった。日本では1930年に昭和恐慌が発現し、250万人以上の失業者が生まれ、さらには農産物の価格の崩落と冷害による大凶作に見舞われた昭和農業恐慌が起こった。
Dominick Chen
Aug 19, 2021
谷崎潤一郎『陰翳礼讃』:陰影という名の自由
谷崎潤一郎『陰翳礼讃』:陰影という名の自由
2019年の真夏に、とある研究合宿のために、京都は妙心寺境内の禅寺、春光院を訪れた。カナダ、イギリス、サウジアラビア、韓国から心理学の研究者を招聘し、西洋圏以外の地域における幸福の捉え方を学術的に議論する会合だった。わずか3日間の日程だったが、ただ理知的な議論を交わすだけでは…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
中谷宇吉郎『「西遊記」の夢』:本当に驚くような心
中谷宇吉郎『「西遊記」の夢』:本当に驚くような心
中谷宇吉郎は雪の結晶化のプロセスを科学的に追究した研究者であり、寺田寅彦の教え子にして盟友としても知られて、数多くの随筆を残している。理化学研究所の寅彦の研究室で実験助手を務めながら、線香花火の形態変化を撮影して記録に収める研究などに従事〔『線香花火』†を参照〕した後に…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
岡本かの子『家霊』:呼応しあう「いのち」
岡本かの子『家霊』:呼応しあう「いのち」
岡本かの子は、食べるという行為がいかに人の精神生活と密接しているかを描く名人である。その作品世界の背景には、食というモチーフと共に、常に淡い生殖の官能が滲んでいる。「いのち」という店名のどじょう屋が舞台になっている『家霊』は、そうしたかの子のエッセンスが凝縮された小説のように…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
梶井基次郎『桜の樹の下には』:ポスト・ヒューマンの死生観
梶井基次郎『桜の樹の下には』:ポスト・ヒューマンの死生観
無数の死者の屍の上に生者の世界が立っているという認識のモチーフは、世界各地の宗教や民俗のなかに見出だせる。自然科学の知見が存在しなかった時代でも、人間やその他の生物の死体が腐敗していく様子は日常的に観察されただろう。むしろ、死体を遠ざけた現代社会のわれわれよりも…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
山本周五郎『季節のない街』:全ての文学
山本周五郎『季節のない街』:全ての文学
山本周五郎の『季節のない街』は1962年の4月から10月の半年間、朝日新聞の夕刊に連載された小説だ。周五郎が幼少期から縁を深めた横浜の伊勢佐木町近辺の貧民街に住む人々をモデルに、15編の小話が綴られている。山本周五郎といえば時代小説というイメージがあったが、ある時彼の現代物の…
Dominick Chen
Aug 19, 2021
寺田寅彦『どんぐり』:織り込まれる時間
寺田寅彦『どんぐり』:織り込まれる時間
寺田寅彦(1878~1935)は物理学者として非常にユニークな研究を行いながら、その科学者としての感性に基づいた森羅万象の観察を数多くのエッセイに書き遺している。漱石の弟子でもあり、『吾輩は猫である』†の水島寒月や『三四郎』†の野々宮宗八のモデルとしても知られている。
Dominick Chen
Aug 14, 2021
About Modern Japanese Literature as a Commons
Latest Stories
Archive
About Medium
Terms
Privacy
Teams