学期末、年度末に向けて、自分も周りも慌ただしい。こんな時は、目の前のことで頭がいっぱいになりがちだが、1通の手紙が視界を広げてくれた。差出人は、23号で紹介した友人のあいこさんだ。あいこさんは、最近家庭菜園をまち全体に広げていくプロジェクト「EDIBLE WAY ー食べられる道」に力を入れている。私たちのこの週刊パクチー通信のことも気にかけ、応援してくれている。手紙の内容は、あいこさんが旅先の香港の園芸街で聞いたパクチー情報だった。
いよいよ寒波が容赦なく、わたしはしょんぼり縮こまっている。それに反比例するように、パクチーはモシャモシャと元気だ。暑い国の植物だから冬には弱いと思い込んでいたけれど、むしろ夏よりも今のほうがのびのびうれしそうに育っている。だけど最近、ついに葉や茎が赤色になりはじめた。冬にはそうなる、とパクチーを育てはじめてすぐに知ってから、いつ赤くなるのだろうと思っていた。ついにこのときが来たのか、と感慨深い。1月も終盤にさしかかり、パクチーも色変える冬まっさかり、ということのようだ。
明けましておめでとうございます。2017年もパクチー通信をよろしくお願い致します。
読者の皆さまは、どんなお正月を過ごされただろうか。わたしは実家に帰り寝正月を満喫してしまった。ぼんやりした気分を引きずって久々に研究室に足を運ぶと、パクチーは今までにないくらい元気にワサワサ生い茂っていた。
私にとって食べ物の思い出は、同時に、誰かとの思い出であることが多い。昨日から、横浜市内のネパール料理店「サフロン」で食べたモモのことと、その時期に一緒に時間を過ごした人たちのことを考えている。
モモは、もともとはチベットの料理らしいが、ネパールでもよく食べられている。小麦粉でできた皮で、ひき肉、玉ねぎ、にんにく、しょうが、コリアンダー(つまり、パクチーの種を粉末にしたもの)などの各種スパイスとともに、刻んだパクチーを混ぜ合わせた餡を包み、蒸しあげたものだ。この原稿を書くまで気づかなかったのだが、どうやらモモも一種の「パクチー料理」と言えそうだ。食感も味も、…