またな
初夏の暮れ方、乗り慣れたバスに揺られながらお祭りの会場に向かっていた。まだ引っ越してから数日しか経っていないというのに、もうすでに「久しぶりに帰ってきた」という感覚があった。去年は、近所の子どもたちと一緒に行ったそのお祭りに、その日は1人で向かっていたから、どこかに変な照れ臭さみたいなものがあったのかもしれない。
お祭りの会場につくと、とりあえず出店を一通り周った。出店を見て回ると去年の光景が思い出されて、さっきまでの照れ臭さが自然とどこかに消えていった。そうしてまちの雰囲気に馴染んできた頃合いで、この間まで住まわせてもらっていた下宿先へ挨拶に向かった。