いつでも「ことば」がある
この文章は、河井彩花(2024)『青い刺繍を詠む』によせたものです(原文のまま)。
『青い刺繍を詠む』は、卒業プロジェクト(2023年度)の成果として制作された冊子です。
2020年の春。出会ったときは、「ことば」だけだった。ぼくの顔と声は、一方的に流れてゆく。相手の姿は見えないし、声を聞くこともできない。ほんとうに誰かが向こう側にいるのかもわからず、果てしなく広がる海に向かってしゃべっているような気分だった。ときおり画面に書き込まれる「ことば」をとおして、向こうのことを思い浮かべた。いまでこそ懐かしい気持ちにもなるが、ふり返るとやはり切ない。…