ファミリーカメラのおばちゃん(5)

キムラマサヤ
にじだより
Published in
5 min readNov 30, 2019

前回からの続き。

目次
・進捗
・インタビューを振り返って
・フィールドワーク展へ向かう

進捗

調査の段階は無事終了し、すでにまとめのフェーズに入っている。
まずファミリーカメラで行うフィールドワークは、10月末に行われる柿まつりを以って終了を予定していた。しかし台風19号により中止となってしまうという想定外の事態となる。ただ柿まつりがなくなったことによって、このプロジェクトもなくなるという訳ではないので、その内容に関してはこちらにまとめた。まだ読んでいないようであれば是非とも読んでいただきたい。そのため、この文章を以ってファミリーカメラでのフィールドワークはすでに終えたということになる。
また、インタビューでは、想定よりも時期は長引いたものの、人数に関しては無事予定通り9名の方に話を伺うことができた。内容に関しては、同じくMediumにアップしている。それぞれ、大﨑くんナオキさん菜穂子さんマスター部谷さん島田さん諏訪さん村山さん小坂さんとなっている。
以上のように、予期しない出来事はあったものの、フィールドワークもインタビューも終え、2月に開催されるフィールドワーク展に向けていよいよまとめの時期に入っている。

インタビューを振り返って

インタビューは実施する前に想像していたこともあったが、それ以上にやはり僕の知らないことが多かった。僕のおばちゃんに対する見方ではない、第三者が見るおばちゃんも僕にとっては新しかった。
特に菜穂子さんにインタビューしたときのことが印象深い。おばちゃんの「お客様には気持ちよく帰っていただきたい」という考えを聞けたからだ。以前からずっと「なぜこんなにもおばちゃんはお客様本位、お客様中心なんだろう」と僕は気になっていた。それに対する答えのようなものを僕はそこに見た。そして後述するが、今度これが僕の展覧会に対する意識として表そうと思っている。また、インタビュイーそれぞれが銘々に違う呼び方をしているために、おばちゃんという言葉を概念として使ったり、一般化したりするのは不適当なのかもしれないと感じた。これに関しては、しっかり考えてアウトプットや卒論を完成させるまでに呼び名や概念を定めたい。

フィールドワーク展へ向かう

アウトプットの制作物と展覧会の2つを考えたい。
まず制作物であるが、本をつくろうと考えている。この本は3つの意味、使われ方を想定している。1つ目はもちろん自らのプロジェクトに対するケジメ、区切りとしての制作物だ。そして2つ目はおばちゃんに対するお礼の品である。このプロジェクトに1年以上ご協力いただいているおばちゃんに対して感謝の想いがいっぱいなので、その想いを形にしたい。3つ目が展覧会でのコミュニケーションを取るためのメディアとしての存在だ。この本を用いて、来場者の方とコミュニケーションを取りたい。あくまで自分の展示は、「展示して終わり」「見ればわかるでしょ」というスタイルにしたくない。コミュニケーションを取った上で展示を完成としたい。
概要ではあるが、文庫サイズで、おばちゃん用に若干フォントサイズは大きめだ。タイトルは『ファミリーカメラ』である。おばちゃんへのお礼であるから、一般販売は考えていない。このプロジェクトでは、おばちゃんは自分自身のことを語らない。そのため、文中でもおばちゃんは自身について語らない。また、おばちゃんが社会的にどんな役割を果たしているのかなどの抽象化や概念化はしない。つまりこのプロジェクトの結論は書かない。それは卒論に記載する。この本では、インタビュー内容やフィールドワーク中の印象深い出来事が中心にまとまっている。だから、おばちゃんがおばちゃんのことを語っていなくとも、読めばなんとなくおばちゃんをわかった気になる。それを狙っている。
次に展示だ。自らのブースをファミリーカメラに模したい。つまり店内を再現したいということだ。おばちゃんから椅子を借りることは了承を得ることができたので、それを置く予定だ。机は流石に大きすぎて持ち運ぶことはできないので、似たようなものをつくろうかと考えている。そこで僕がおばちゃんのポジションに位置することによって、来場者の方も擬似的にファミリーカメラを体験できる。そして何よりこれにはコンセプトがある。「お客さんには気持ちよく帰ってもらいたい」というコンセプトだ。これは上記にもあるが、インタビューしてわかったおばちゃんらしさが現れているポイントだ。僕は1年間フィールドワークをしてきた人間として、これを再現したい。

フィールドワーク展までの残す2ヶ月、納得できる内容に仕上がるよう走り切りたい。

次号へ続く…

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