中山英之著『1/1000000000』
伸び縮みする世界で(評者:砂山太一)
それいけノンタック、「おでこのメガネでデコデコデコリーン」という掛け声とともに、主人公のノンタックがおでこにかけた青い眼鏡がずり下がり、その眼鏡をとおすと、身のまわりにある物たちと会話ができるようになる。物たちは、人との関係における悩みなど、私達が日常の中で気にもとめないようなことを、ノンタックに訴えかける。実写の風景に、ノンタックと物たちの人形劇が挿入されるこのテレビ番組は、1985年から1992年まで放送され、当時の子供たちに、自らの身体を離れることによる他者への想像…