ブロックチェーンゲーム市場レポート:NFT取引(2019年7月)

Hiroyuki Narita
Metaps Blockchain JP
8 min readAug 19, 2019

前回に続き、7月末時点のブロックチェーンゲーム市場(NFTのセカンダリー取引)について各種データをまとめました。

*今回よりビジュアルデータを中心にお届けしてゆきます。

なお、本レポートでは、下記抽出対象に基づくブロックチェーンのトランザクションデータを参照しております。(参照データ:EtherscanBigQuery

*抽出条件*

  • NFTのユーザー間取引により発生(OpenSeaAuctionityなどのマーケットプレイス及びCryptoKittiesなどのゲーム内マーケットのトランザクションを対象とする)
  • 独自トークンによる取引はETH・USD換算にて算出(MANAなど)
  • Decentraland を除く取引を算出
  • Ethereum上で発生
  • 2018年6月1日〜2019年7月31日に発生

目次

  • セカンダリーマーケット動向
    - 取引件数 推移
    - 取引高 推移
    - 平均取引高 推移
    - MAU・New user 推移
    - トピックス
  • タイトル別 比較
    - 7月のタイトル別 取引高
    - TOP3タイトルの取引高 推移
  • 注目タイトル
  • 総括

セカンダリーマーケット動向

【取引件数 推移】

取引件数は前月比でマイナスとなり、ここ数ヶ月続く横ばいの推移から下落傾向となった月でした。

【取引高 推移】

全体推移で見るとETH建・USD建 共に前月比でマイナスとなりました。

7月単月の週次推移で見ても3Wをピークに下落傾向となっており、来月以降もその余韻が残る月となりました。

【平均取引高 推移】

平均取引高については全体的にプラスとなりました。

【MAU・New user 推移】

MAU・New user共に、7月単月で前月比でマイナスとなりました。

【トピックス】

  • 「Decentraland」がVR空間を自由に移動可能とするWorld Explorerのクローズドベータを始動(https://decentraland.org/blog/
  • アニメクリエイターのデジタル作品を売買できるBlockPunk、トークン化アニメ映画「微睡みのヴェヴァラ」とスマートアートプリントをローンチ(https://thebridge.jp/2019/07/blockchain
  • 「MetaMask」のモバイルウォレットがリリース。ウォレット上でブロックチェーンゲーム・マーケットプレイスの利用、所有NFTの管理が可能(https://medium.com/metamask
  • 「クリプトスペルズ」がクラウドセール 2週間で売上900ETH(およそ3000万円)を超え、累積黒字化見込み(https://cryptogames.co.jp
  • 「NBA」がクリプトキティ―ズチームが開発するDapperと提携してブロックチェーンゲームへの参戦を発表(https://www.coindesk.com/nba-and-dapper
  • 「コントラクトサーヴァント」がプレセールで販売されるサーヴァントリストを公開(https://link.medium.com/tWkcMQrEbZ
  • 「OpenSea」上でBitcoinを利用してNFT購入を実現するLightningのデモが公開(https://twitter.com/neondistrictRPG/

タイトル別 比較

【7月のタイトル別 取引高】

7月も取引高TOPとなったのがMCHでした。続いて先月のレポートでも取り上げたCSCNFTが今月も躍進し、2番目の取引高となりました。

その他、目新しいタイトルでいうと2Qレポートで注目タイトルにあげたCrypto StampがTOP10に入り、非ゲームのNFT取引として今後の取引高推移の行方が注目されます。

【TOP3タイトルの取引高 推移】

タイトル別に見てみると、TOP3タイトル全て前月比でプラスとなっているのがわかります。

また、これまでの取引高推移を見てみるとCSCNSFに関してはここ数ヶ月で急激な上昇となっており、毎月その勢いが増しているのがわかります。

-タイトルリンク-

注目タイトル

日本発のブロックチェーントレーディングカードゲームで、クラウドセールで900 ETHの売上を記録した注目のタイトルです。

現在取引できるのはこのクラウドセールで販売された8種類のカードのみとなっており、今後実施予定となっている月次セールの動向に注目が集まります。

CryptoSpellsと同様のトレーディングカードゲームで、以前から取引はされていたものの、これまであまり目立った取引高は見せてこなかったタイトルでしたが、この7月から少しづつ取引量が増え、OpenSeaの取引ランキングを徐々に上げてきている注目のタイトルです。

また、この7月には1枚50ETHで取引成立した実績もあったりと、今後の取引の行方に期待が持てるタイトルと言えます。

50ETHで落札されたカード

総括

これまで横ばいで推移していた取引高がETH達・USD建 共に下落となりました。

各項目を見ても、MAU・New user共に前月比でマイナスとなっており取引を向上させる要因が少なかったこと月だったと言えます。

そうした中、タイトル別の取引高を見ていくとTOP3においては前月比でプラスとなっており、決して全てのタイトルが下落しているわけではないのがわかります。中でも特にCSCNFTについては、前月比で大幅なプラスをみせ、ここ数ヶ月で驚異的な躍進を遂げているのがわかります。

NFTのセカンダリー取引としては全体的に元気のない状態がここ数ヶ月続いていますが、そうした中でもしっかりと取引高を伸ばしているタイトルも存在しており、正確な全体動向の把握をするためにも、その要員となり得る各種データを交えながら今後も定期レポートとしてお届けしていきたいと思います。

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