ブロックチェーンゲーム市場レポート:NFT取引(2019年8月)
前回に続き、8月末時点のブロックチェーンゲーム市場(NFTのセカンダリー取引)について各種データをまとめました。
なお、本レポートでは、下記抽出対象に基づくブロックチェーンのトランザクションデータを参照しております。(参照データ:Etherscan、BigQuery)
*抽出条件*
- NFTのユーザー間取引により発生(OpenSea、Auctionityなどのマーケットプレイス及びCryptoKittiesなどのゲーム内マーケットのトランザクションを対象とする)
- 独自トークンによる取引はETH・USD換算にて算出(MANAなど)
- Decentraland を除く取引を算出
- Ethereum上で発生
- 2018年6月1日〜2019年8月31日に発生
目次
- セカンダリーマーケット動向
- 取引件数 推移
- 取引高 推移
- 平均取引高 推移
- MAU・New user 推移
- トピックス - タイトル別 比較
- 8月のタイトル別 取引高
- TOP3タイトルの取引高 推移 - 注目タイトル
- 総括
セカンダリーマーケット動向
【取引件数 推移】
8月の取引件数は前月比で横ばいとなり落ち着いた月となりました。
【取引高 推移】
全期間の取引高推移を見るとETH建はプラスに転じ、USD建では引き続きマイナスの推移となりました。
しかしながら、USD建についても徐々にマイナス比率が緩やかになってきており、来月以降ETH建と同様にプラスに転じるか注目が集まります。
【平均取引高 推移】
平均取引高は一部(ETH建の取引あたり)を除いて前月比でマイナスとなりました。
【MAU・New user 推移】
MAU・New user共に8月は前月比でプラスとなり、全期間の推移で見てもプラスに転じた月となりました。
【トピックス】
- 「MyEtherWallet」がVersion 5.1のアップデートでNFTに対応(https://medium.com/myetherwallet/)
- 「MCH」と「CryptoSpells」のコラボが実装(https://link.medium.com/dPKkcTWB6Z)
- 「Neon District」がゲーム内のミニゲームとして「Ledger of Szabo」をリリース。併せてミニゲームのキャラクターがNFTとして販売開始(https://twitter.com/neondistrictRPG/)
- 「Crypto Space Commander」がスタートレックコラボの詳細を公開(https://medium.com/crypto-space-commander/)
タイトル別 比較
【8月のタイトル別 取引高】
先月に引き続き、8月もMCHが取引高TOPとなりました。続いて、先月のレポートで3位となっていたHyperDragonsが2位に浮上し、その反対に先月2位であったCSCNFTは今月は順位を下げ4位となりました。
また、同じくMLBも順位を大きく下げ、TOPのMCH以外の順位変動の激しさを改めて感じる月となりました。
その他のタイトルの動きを見てみてみると、先月TOP10圏外だったCryptovoxels、PLANET(0xUniverse)、CheezeWizardといった新タイトルがランクインし、全体的に順位変動が激しかった月と言えます。
【TOP3タイトルの取引高 推移】
タイトル別に見てみると、MCHが頭一つ抜けた取引高と前月比の伸び率を見せているのがわかります。
反対に、CryptoKittiesについてはTOP3には位置しているものの、ここ最近の取引高推移は低調な推移を見せており、上位タイトルの取引高下落がランキングを上昇させた要因であったことがわかります。
-タイトルリンク-
- MCH(My Crypto Heroes):https://www.mycryptoheroes.net/
- HyperDragons:https://hyperdragons.alfakingdom.com/
- CryptoKitties:https://www.cryptokitties.co/
注目タイトル
- Infinity Star:https://www.infinitystar.io/
Infinity Star(インフィニティスター)とは、対戦型SFブロックチェーンゲームで、開発チームはソウルに拠点を置き、日本語・英語・中国語・台湾語・韓国語といったマルチリンガルに対応しています。(ゲームの詳細はこちらのページをご覧ください。)
8月24日からプレセールが開始し、すでにセカンダリー取引がOpenSea上で行われ、週次の取引高ランキングではCryptoKittiesを抜いて6位に位置する注目のタイトルとなっています。
9月25日にβ版のリリースを予定しており、ゲームリリース後にどのような取引高推移を見せるか期待が集まります。
総括
8月はETH建の取引高が前月比でプラスに転じた月となりました。
タイトル別に見てみると、MCHが先月にも増して取引高を大きく伸ばし、全体取引高を牽引したのがわかります。一方で、その他のタイトルについては取引高上位であっても前月比でそこまで大きな伸びはなく、一部のタイトルに依存した取引市場であることがわかります。
そうした中、また新たなタイトルが登場し、8月下旬からプレセール が開始したInfinity Starのセカンダリー取引が、週次の取引ですでにCryptoKittiesを抜く勢いを見せており、新たなビックタイトルの登場が予感される月となりました。
またその他の動きとしては、ゲームの世界観を超えたブロックチェーンならではの新たな試みとしてMCHとCtyptoSpellsのコラボが実装されたりと、業界全体でアセットの価値を向上させるユニークな動きも出てきました。
このように、8月は取引だけでなく、注目タイトルの登場やゲーム間コラボといった新たな動きもあり、全体的に明るい兆しが見えた月であったと言えます。この状態が来月以降どのように推移していくか、取引データに加えて各タイトルの動向も追いながら引き続きレポートとしてお届けしていきたいと思います。