NIHSS-11 消去現象と注意障害 その2
イメージしにくい消去現象を勉強しましょう
消去現象
症状
左右別々に刺激されると正確に認識できるが、両側同時に刺激されると片方がわからなくなり(消去されてしまい)、片方だけの刺激と認識してしまう症状です。
右だけ刺激した場合は「右です」、左だけ刺激した場合は「左です」と答えられます。
左右同時に両方を刺激した場合には「両方です」と答えずに、「右です」と左側の感覚が無視されます。(多くの場合左側を無視します)
検査項目
検査する「感覚」とは、何でしょうか?
Sensory modalities: Some sensory modalities include: light, sound, temperature, taste, pressure, and smell.(Wikipediaより)
感覚は「光、音、温度、味、圧力、匂い」を含むようです。
日本語では視覚、聴覚、温痛覚、味覚、触覚、嗅覚です。
ベッドサイドで手早く検査できるのは視覚、聴覚、温痛覚、触覚です。
温痛覚と触覚を区別するのは難しいので、触覚で検査します。
※注意:「視覚、触覚、聴覚、空間または自己身体の注意障害」は注意障害(4)の項目で説明します。
「視覚、聴覚、触覚」を用いて検査しますが、左右個別の刺激に正確に反応できる事が前提です。
検査できない場合
視覚: 視力障害、半盲がある
触覚: 中等度以上の感覚障害がある
聴覚: 難聴がある
NIHSSでは「重度の視覚障害がある場合は皮膚刺激の両側同時刺激が正常ならば、この項目は正常とする」と原文に記載されています。教科書p57の「皮膚刺激や聴覚刺激で検査することになる」は原文には掲載されていない解釈となります。
検査方法
- 右だけ刺激して、「右」と答えられるか確認
- 左だけ刺激して、「左」と答えられるか確認
1,2のどちらか答えられなかったら、その感覚についての検査は中止します。
3. 両側刺激して、「両方」と答えられたら正常、片方しか答えなかったら消去現象ありと判定する。
視覚
視覚の消去現象については項目3の視野検査の時に行います。
視点を固定させる
動いた方の指を答えてもらう
視野の検査ではないので、1/4ずつの視野で検査はしない。水平の位置に指を出して、両目開眼させて左右を調べる
触覚
触覚で調べます
項目8の感覚障害の検査のように痛覚でなくても良い
視覚での情報に頼らないように目を閉じてもらいます
聴覚
指を擦る音で調べます
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他のNIHSS項目
1a 意識, 1b 質問, 1c 従命, 2 眼球運動, 3 視野 : (1), (2)
4 顔面麻痺, 5–6 上下肢麻痺, 7 失調, 8 感覚障害, 9 失語
10 構音障害, 11 注意障害 :(1), (2), (3), (4)
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