NIHSS-11 消去現象と注意障害 その3
半側空間無視について理解を深めましょう
半側空間無視
左右どちらか片方だけ空間の存在を無視してしまう症状で、多くの場合左側に起こります。
項目11までの検査である程度わかることがあります。
意識の項目(1a, 1b, 1c)で呼びかける際、眼球運動(2)、視野(3)の検査でも異常に気づくかもしれません。線分二等分テストが行われます。
半盲との区別がつきにくいことがあります。半盲の場合は見えない領域がカーテンがかかっているよう、とかもやがかかっているようだと表現する方が多く、見えない領域について自覚していることが多いです。
半側空間無視がある場合は「2点」です。
半側空間無視がどのように見えるのか考えてみましょう。
人間の視力は中心部が最もよく、少しでもずれると急に視力が落ちます。文字を読む時も少し中心部から離れると読めなくなりますね。正面以外の認識は悪いのです。擬似的に画像処理を加えると次のようになります。
右端の男の子はほとんど見えていませんが、実際には絶えず眼球を動かしているので、それぞれの詳細な部分をつなぎあわせて、元の写真のようなイメージが構成されています。
さて、左半側空間無視のイメージを考えましょう。
この左側の部分が見えなくなります。
左側については正面以外もともと認識されていないし、狭い範囲の中心部が半分認識されなくなります。
さて、ここで左の男の子から声を掛けられるとどのように聞こえるでしょう?
最近の研究では聴覚の主観的な正中位置は半側空間無視の重症例ではより左側(ピンクの位置)に、軽症例では右側(黄色の位置)に移るとの報告があります。
重症例ではピンクの星の部位で視野から全く離れたところの音なので全く注意を示さない。
軽症例では黄色の部位での音として認識されるので、患者さんは左側から声をかけられると、この右半分の視野の中で探すため、右側をキョロキョロ探してしまう。
このように整理すると、実臨床での障害の程度による症状の違いが理解できそうです。