NIHSS-2 眼球運動

Kei Nomura
3 min readJun 27, 2016

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pixabay.com

共同偏視は脳卒中患者さんで多く見られる症状です

眼球運動(共同運動)の起こり方

PPRFという左右一対の脳幹(橋)にある神経核が重要な働きをします。これは同側の目を外側に、対側の目を内側に向け、両目とも同じ対側に向かせる調整役を担っています。

つまり右PPRFは両目を右側、左PPRFは左側に向かせる役割を担っています。

眼球運動は前頭前野や後頭葉からの命令が対側のPPRFに伝わり起こります。

さて、突然ですが右手を動かしてみましょう。自然に右手に視線が動いたでしょう。

右手を動かす信号は左大脳運動野の皮質から発生し、同時に前方の眼球の共同運動の領域にも信号が伝わります。この興奮が対側の右PPRFに伝わると、右PPRFは右目を外転させる動き、同時に左目を内転させる動きを引き起こし、結果として両方の目で右側を見たのです。

あなたの頭の中では 左大脳 >>> 右PPRF >>>右を向く という事が自然と起きていました。

脳卒中の際に起こっていること

さて、脳卒中の患者さんではどのようなことが起こっているでしょうか。

左側の脳のダメージで 左大脳 ~ 右PPRFの経路がダメージを受けると、

右PPRFへの信号が減少するので、相対的に 右PPRF < 左PPRF となります。左PPRFの信号が強くなり自然と左側を向きます。つまり病側を向くのです。これが共同偏視の正体です。

おまけ: 痙攣の際に起こっていること

痙攣発作の際には大脳半球の興奮性が高まります。左大脳半球でけいれん発作が起きると、右PPRFへの信号が強まります。

右PPRF > 左PPRFとなり右側を向くようになるのです。

簡単に眼球運動、共同偏視の仕組みを解説してみました。興味のある方はさらに、MLFや動眼神経核、さらに眼球運動に関わる神経、筋肉についても勉強してみてくださいね。

他のNIHSS項目

1a 意識, 1b 質問, 1c 従命, 2 眼球運動, 3 視野 : (1), (2)

4 顔面麻痺, 5–6 上下肢麻痺, 7 失調, 8 感覚障害, 9 失語

10 構音障害, 11 注意障害 :(1), (2), (3), (4)

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