最近の渋谷(ここでは渋谷駅周辺を指す)が臭う、らしい。今の渋谷が臭うのかということについて、本文では考察する。
2018年1月8日、今年も成人式の式典のようすがテレビのニュースで報道された。お決まりの新成人へのインタビュー。聞き手がどのように質問したのかは不明だが、おそらく「どんな大人になりたいですか?」というような内容だろう…
ときどき地元の小さなバーに行って紅茶のリキュールを使ったお酒を飲む。水か牛乳で割ってもらうのがわたしの「いつもの」だ。お店に行けばだいたいほかの常連のひともいて、地元や職場、家庭での出来事を話したり聞いたりして盛り上がる。さまざまな人生観や世界観を聞くことは面白くもあり、ときに煩わしくもあるけれどどれも魅力的だ。
ある日、常連の女性が「今日この辺りにTWILLO来ているらしいよ」と教えてくれた。その時わたしはその存在を知らなかったが、マスターや他のお客さんは「TWILLO」を知っていたようだった。詳しく聞くと、深夜都内のどこかに出没する屋台型のバーだそうだ。大学の…
渋谷に暮らすようになって、10年近くになる。「渋谷に住んでいる」と言うと、わかりづらい、人が多すぎるといった反応が少なくないが、学生の頃からよく足をはこんでいることもあって、その複雑さや猥雑さもふくめて…
昨年、大学院のある授業で、中国からの留学生が「川がさらさら〜が理解できない」と言っていた。水が流れる音は「さらさら」とは聞こえない。水は「じゃーじゃー」とか「じゃぶじゃぶ」だと言うのである。
今回のお題が「そわそわ」と聞き、最初に思い出したのがそのことだった。彼女の研究テーマは(たしか)「オノマトペ」。おそらく、風が「そよそよ」吹くというさまも理解しにくかったのかもしれない。他にも、「雪がしんしんと降る」や「子どもがすくすくと育つ」、「(休みの日は)ゴロゴロする」、「コツコツと貯金する」など、日本語は自然や景色、ふるまいなどを観察したようすを観察者…
ぎゅっと床を掴んで、すぅーっと空気を押す。
そしたらさっと床を離して、さっき押し出した空気をぐっと掴む。
その姿勢のまま、ぐるりと回って、床にすとんと足を着ける。
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これは「ピルエット」と呼ばれる技。バレエやジャズダンスでよく使われる、片脚のつま先を軸に体をぐるっと回転させる技だ。きっと皆さんがバレエという言葉を聞いたときになんとなく思い浮かべられるような基礎的な技で、ウェブで検索すると多くの動画を見ることができる。
それはドバイからブラジルへ向かう機内で起こった。自分のいる座席の斜め後ろ側がなにやら騒がしい、それに微かに変な臭いがする。
あ、誰か吐いたな。
離陸してから映画を2本見終えたから、すでに4時間は経っているはず。残りのフライト時間は9時間ほどだろうか、早く臭いが解消されてほしい。どうやら、後方に座っていた小さい男の子が飛行機の揺れに酔ってしまったようだ。客室乗務員と母親らしき女性に連れられ、男の子は泣きながらポリ袋を持ってトイレに歩いていく。その姿を見て、まだまだ続くフライトに耐えなければいけない彼を少し気の毒に…
一人で入るのは躊躇してしまいそうなアンダーグランド感たっぷりなビルの二階、階段を登って、種々雑多なグラフィティーやステッカーで覆い尽くされた扉の前に立つ。本当にこの場所で間違いないだろうか、でもスパイスの香りがするからここだろう、と思い切って扉を開けた。友達から渋谷に美味しいカレー…
「時間の軸が揺れた。」
村上春樹の小説『神の子どもたちはみな踊る』に収録されている短編「蜂蜜パイ」に出てくる一節だ。それも「窓辺のカーテンが風にそよぐように」と綴られている。主人公があることをきっかけに、ふと、じぶんが若かった頃に引き戻され、当時と同じ感覚になるというのが、この一節に至るまでの文脈である。
果たして、「時間の軸が揺れる」とはどういう感覚だろうか。わたしは今まで、「時間の軸が揺れる」といった経験を味わったことがあっただろうか。この表現を、ふとした瞬間にすっと過去に引き戻されることであると捉えるな…
私には故郷、と呼べるまちがない。幼い頃からいわゆる転勤族として、父の仕事に合わせ国内外のまちを転々と移り住んできた。という話をすると、一体何ヶ国語を話せるのだろう、と期待させてしまうことも多いが、私は日本語しか話すことができない。小さい頃に話せた英語は、帰国と同時に忘れてしまったし、大きくなってからは日本人学校に通っていた。せっかく海外に長くいたのにもったいないね、といつも言われる。たしかに、英語が重要なひとつのステータスになり得る今、私は自分の立場や経験を活かせず無駄にしてしまったのかもしれない。
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