ブロックチェーンゲームマーケット ビジュアルレポート:NFT取引(7月号)

Hiroyuki Narita
Metaps Blockchain JP
10 min readJul 13, 2020

ブロックチェーンゲームマーケット(NFTのセカンダリー取引)ついて、各種ビジュアルデータ中心にお届けします。

なお、本レポートでは、下記抽出対象に基づくブロックチェーンのトランザクションデータを参照しております。(参照データ:miimeEtherscanBigQuery

*抽出条件*
- NFTのユーザー間取引により発生(マーケットプレイス及びゲーム内マーケット参照)
- ETHまたはWETHによる取引を参照(MANAなど独自トークンを除いて算出)
- 2018年6月1日〜2020年6月30日に発生

目次

  • 【全期間】*2018.6 -2020.6
    - マーケット動向
  • 【直近3ヶ月 】*2020.4–2020.6
    - マーケット動向
    -タイトル別取引高 シェア状況
    - TOP3タイトル 取引高・ユーザー動向
    - 6月の高額取引TOP2
    - カテゴリ別 取引高シェア状況
    - ユーザータイプ別 取引高シェア状況
    - 取引タイプ別 取引高シェア状況

【全期間】*2018.6.1–2020.6.30

■マーケット動向(月次推移)

  • 取引高:先月と比較し6月はETH建てJPY建て共に大幅なマイナスとなりました。特に、ここ数ヶ月ETH価格の上昇から横ばいに推移していたJPY建ての取引高が今月はついに11%のマイナスとなり、厳しい月となりました。
  • 取引件数:取引件数に関しては、5月の下げ幅をさらに超えて、今月は前月比で50%のマイナスとなりました。
  • MAU:上記2つの項目と同じく、ユーザー数に関しても先月に比べマイナスとなり、セカンダリー市場における取引が厳しい月であったと言えます。

【直近3ヶ月 】*2020.4.1–2020.6.30

■マーケット動向(週次推移)

  • 取引高:週毎の取引高の推移を見ると、5月に取引高の大きな増減が発生しましたが、それを除くと全体的に緩やかな減少傾向であったと言えます。
  • 取引件数:先月のレポート時点からさらに取引数の減少が加速し、急な右肩下がりトレンドとなりました。週を追うごとに取引数が減少しているのが明らかであり、この減少トレンドがどこまで続くのか来月以降の推移に注目したいと思います。
  • WAU:これまで横ばいに推移していたユーザー数でしたが、5月〜6月にかけて減少傾向となったのがわかります。これらの減少は特定のタイトルに依存した結果のものなのか、あるいは、全体的に市場に活気がない状態なのか、以降で取り上げるタイトル別・ジャンル別の各データからその要因について見ていていきたいと思います。

■タイトル別 取引高シェア状況

先月のレポートに引き続き今月も取引シェア1位はSOMNIUM SPACE(PARCEL)、そして2位はCryptovoxelsなとなりました。いこうの3位以降の順位もまた大きな変化は見られない状態でした。しかしがら、今回特に注目したいのは、取引高の割合です。順位は同じであってもMy Crypto Heroes(MCH)、Brave Frontier Heroes(BFH)Gods Unchainedの取引高割合は先月のレポート時点から半分になっています。これら3タイトルは圧倒的な取引高でこれまで上位に位置していましたが、ここ数ヶ月の取引高の減少は著しく、本レポートを重ねるごとに減少している状態と言えます。これら主力タイトルの取引高減少は、冒頭で触れた市場全体の落ち込みの1つの要因ではないかと考えられます。

一方で、SOMNIUM SPACE(PARCEL)やCryptovoxelsといった新たに市場を牽引してくれるタイトルも出てきており、これまで極限られたタイトルの取引高に依存していた市場も、多様なタイトルの出現により健全な市場へと変化しているのではないかとも考えられます。

■TOP3タイトル 取引高・ユーザー動向

今回、注目のタイトルで取り上げたのは取引高シェア10位にランクインしたSuperRareです。SuperRareはデジタルアートのプロジェクトで、これまで紹介したタイトルと全く異なるカテゴリに属します。このプロジェクトの面白いところは、既存の著名作品のデジタル化ではなく、誰もが新規で作成したデジタルアート作品をNFTとして販売することができるといったプロジェクトになります。既にリリースから1年以上前たっており、これまでは一部のユーザーの作品化と取引のみが行われている状態でした。しかしながら、ここ最近Decentrakand上で複数のデジタルアートプロジェクトによるアートウィークイベントが開催されたりと、SuperRareの作品が広く知られるきっかけが増え、ここ最近取引が活性化しているのではないかと考えられます。

SuperRareの他にも、MakersPlace などデジタルアート系プロジェクトが軒並みランキングを上げており、SOMNIUM SPACE(PARCEL)やCryptovoxelsといった土地系のタイトルの盛り上がりと併せて、その上で表現できるデジタルアートの需要が増えているのではないかと考えられます。

■6月の高額取引TOP2

6月に取引されたNFTの中で最も高額な取引が行われたのがCryptovoxelsの土地で50 ETH(日本円にしておよそ127万円)で売買されました。次に高額な取引が行われたのがCryptoSpallsのカードで26 ETH(日本円にしておよそ67万円)で売買されました。CryptoSpallsはこれまでにも高額な取引が数回行われてきましたが、5月末から6月にかけて地上波TVCMの放送を行なった影響もあり、今回再びこうした高額な取引が行われたのではないかと考えられます。

■カテゴリ別 取引高シェア状況

ついに、これまで上位に位置していたトレーディングカードゲーム(TCG)が3位となり、代わりに1位となったのがクラフトでした。大きな要因としてはやはり、Gods Unchainedの取引高の急激な落ち込みがあげられます。加えて、SOMNIUM SPACE(PARCEL)やCryptovoxelsといったタイトルが徐々に取引高を上げてきた結果、順位の変動が生じたと考えられます。

また、もう一つ注目したいのがアートが4位にまで上昇した点です。これはタイトル別比較でも注目の1つにあげたSuperRare、MakersPlace といったアート系プロジェクトの取引高増加が大きな要因と考えられます。このようにカテゴリ別に見ても、クラフト系タイトルの取引高がアート系タイトルの取引高と歩調を合わせる形で増加しているのがわかります。

■ユーザータイプ別 取引高シェア状況

ユーザータイプにも変化があり、販売側と購入側の割合が逆転しました。これは、先月レポート時点まで強かった売却ユーザーの圧力が一旦落ち着いたとも捉えられます。この割合の逆転が与える取引高への影響について、来月以降の市場推移と照らし合わせて相関関係を見ていきたいと思います。

■取引タイプ別 取引高シェア状況

先月のレポート時点22%にまでシェアを伸ばしたプライベート取引が、今回さらに3%近く伸ばし、徐々に勢いが増しているのがわかります。

しかしながら5月と6月の割合を比較してみると若干ですがプライベートセールの割合が減少しております。やはり、直近でGateway方式を採用するタイトルの取引高が鈍化しているのと、同様の方式を採用するタイトルがリリースされていないことが要因として考えられます。引き続き、このプライベートセールのシェア率がどのように変化していくのか、既存タイトルの取引高推移に注目しながら見ていきたいと思います。

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