ブロックチェーンゲーム市場レポート:NFT取引(2019年10月)
前回に続き、10月末時点のブロックチェーンゲーム市場(NFTのセカンダリー取引)について各種データをまとめました。
なお、本レポートでは、下記抽出対象に基づくブロックチェーンのトランザクションデータを参照しております。(参照データ:Etherscan、BigQuery)
*抽出条件*
- NFTのユーザー間取引により発生(OpenSea、Auctionityなどのマーケットプレイス及びCryptoKittiesなどのゲーム内マーケットのトランザクションを対象とする)
- 独自トークンによる取引はETH・USD換算にて算出(MANAなど)
- Decentraland を除く取引を算出
- Ethereum上で発生
- 2018年6月1日〜2019年10月31日に発生
目次
- セカンダリーマーケット動向
- トピックス
- 取引件数 推移
- 取引高 推移
- 平均取引高 推移
- MAU・New user 推移 - タイトル別 比較
- 10月のタイトル別 取引高
- TOP3タイトルの取引高 推移 - 注目タイトル
- 総括
セカンダリーマーケット動向
【取引件数 推移】
10月の取引件数は前月比で大幅にプラスとなりました。
【取引高 推移】
取引高で見てもETH建・USD建 共に大幅なプラスとなり、ここのところ見られた上昇の兆しを一気に押し上げた月となりました。
【平均取引高 推移】
平均取引高については、取引あたりでは前月比でマイナスでしたがuserあたりで見るとここ数ヶ月プラスが続いており、1人のユーザーが取引する金額が徐々に大きくなっていることがわかります。
【MAU・New user 推移】
MAU・New user 共に前月比でプラスとなり、セカンダリー取引への参加者が全体的に増加した月と言えます。
【トピックス】
- ブロックチェーントレーディングカードゲームの「Tides of Magic」がイーサエモンの全モンスター163種類をNFTカードへコンバート(https://medium.com/tidesofmagic/)
- 戦略アクションゲームの「Crypto Alchemist」事前登録を開始。すでにCryptoSpellsとのカードのコンバートが公表(https://cryptoalchemist.jp/)
- 「コントラクトサーヴァント」詳細なロードマップを公開(https://medium.com/contract-servant/)
- 「ウォレットバトラー」生活者参加型プロモーションサービス「CollectableAD」を使った限定キャラクタープレゼントキャンペーンを11月に開始予定(https://prtimes.jp/main/)
- 「Gods Unchained」Genesis カードパックのPre-saleが完売(https://twitter.com/GodsUnchained/)
- 「Crypto Space Commander」が実施したスタートレックコラボ宇宙船のオークションが407ETHで落札(https://twitter.com/CS_Commander/)
タイトル別 比較
【10月のタイトル別 取引高】
先月のレポートで新たな顔ぶれとして紹介したEthereumアドレスを取引するENS(Ethereum Name Service)がMCH(My Crypto Heroes)を抜き取引高TOPとなりました。
また、同じく先月TOP10にランクインしたばかりのCryotoSpellsも10月はさらに取引高を伸ばし5位位置するまでになりました。CryotoSpellsはMCH同様にゲームリリース後にセカンダリーの取引高を徐々に伸ばしており、ゲームプレイを通じてアイテム需要を生み出しているユニークなタイトルと言えます。
【TOP3タイトルの取引高 推移】
タイトル毎に見てみると、今月はENSの取引高の上昇が圧倒的であったのがわかります。続いて2位のMCHについては上昇率はENSほどではないものの先月を上回る取引高で推移しており、引き続き順調な伸びを見せております。
また、CSC(CryptoSpaceCommanders)においては3位にランクインしているものの、前月比では大幅に取引高を減少させており、来月以降の水位に不安が残る月となりました。
-タイトルリンク-
- ENS(Ethereum Name Service):https://ens.domains/
- MCH(My Crypto Heroes):https://www.mycryptoheroes.net/
- CSC(CryptoSpaceCommanders):https://www.csc-game.com/
注目タイトル
- Gods Unchained:https://godsunchained.com/
Gods Unchained は豪州シドニーを拠点とする「Immutable」によって開発が進められているブロックチェーントレーディングカードゲームで、ブロックチェーンゲームとしては初のeスポーツ化を目指す本格的なゲームと言えます。
プレセール初期に実施された限定オークションでは、1枚146ETHもの価格で落札された実績もあり、ゲームリリース前にもかかわらず大きな注目を集めているタイトルです。
またImmutableは先日、Tencentの筆頭株主である「Naspers Ventures」などから1,500万ドルの調達を実施し、業界を牽引するブロックチェーン企業としても注目を集めております。
そしてついに、1年前から実施されていたプレセールが先月10月29日に完売となり、よりいよいよこの11月からゲームリリースとセカンダリー取引が開始となります。これまで集めた注目が、どの様にセカンダリー取引に与えるか期待が集まります。
総括
10月は取引件数・取引高共に前月比で大幅なプラスとなり、ここ数ヶ月見られた上昇の兆しを一気に押し上げた月となりました。
タイトル別に見てみると、MCHなどお馴染みのタイトルが牽引していたことに加え、先月から取引高を伸ばし始めているENSやCryotoSpellsといった新たなタイトルの躍進が要因となったことがわかります。特にCryotoSpellsに関しては、独自のエコシステムでゲームリリース後にユーザーをしっかりと取り込み、ゲームプレイを通じてアセットの需要を生み出しており、今後も継続的な取引が期待されるタイトルと言えます。
こうしたMCHをはじめCryptoSpellsの様な本格的なゲームタイトルの出現により、プレセール以降も恒常的なセカンダリー需要が生まれ、市場全体の底上げに繋がっていると考えられます。
11月はこれまで市場を牽引してきたタイトルに加え、Gods Unchainedの登場により、市場のさらなる伸びが期待できる月となるのではないでしょうか。